« あなたは、耐えられますか?官と民の給与格差 | トップページ | 10年で何が変わったのか?~分配面からみた国民経済計算その2~ »

2009年2月24日 (火)

10年で何が変わったのか?分配面からみた国民経済計算その1

10年で何が変わったのか?

国民経済計算とは、国の経済を構成する諸側面を系統的・組織的に捉え、記録するマクロ経済統計のことですが、今回は、分配面からみた国民経済計算が10年でどのように変わったのかを、示します。

内容が多岐にわたるので、数回に分けて、示します。

◎分配面からみたGDPの構成


分配面から見たGDPは、下図のような構成にる。

Bunpaigdp

・雇用者報酬=雇用者の賃金+雇主の社会負担
・営業余剰:企業の営業利益
・混合所得:個人企業・農家の労働所得+資本所得
・純間接税=間接税-補助金
・固定資本減耗:構築物、設備、機械など再生産可能な固定資産について、通常の摩損および損傷(減価償却費)と、通常予想される範囲における火災・風水害等の偶発事故(資本偶発損)等からくる減耗分を評価した額

◎分配面からみたGDPの変化(1998年と2007年の比較)

分配面から、みたGDPの変化は表のようになる。

雇用者報酬は、8兆5,824億円減、それ以外の構成要素は、全て増加しており、営業余剰・混合所得は、3兆6,735億円増加固定資産減耗は、9兆3,640億円増加、名目のGDPも増加となっている。
構成比は、雇用者報酬は、3.0%減、営業余剰・混合所得は、0.3%増、固定資産減耗は、1.3%増となっている。

ここで、名目GDPに占める雇用者報酬の割合=労働分配率なので、労働分配率が、10年前に比べ、3.0%下がっている

10年前と比較し、労働分配率が下がった要因としては、営業余剰・混合所得の増加というよりは、むしろ固定資産減耗の増加の影響が大きいことがわかる。

~分配面からみたGDPの比較(1998年度と2007年度)~

Bunpai9807_2

出所:国民経済計算確報(内閣府)を基に作成(チーム『民』)

◎雇用者報酬および労働分配率の推移

では、雇用者報酬は、いつ頃から、減少したのであろうか。

雇用者報酬金額と労働分配率の推移を、みると、雇用者報酬の金額は、97年までは、増加しているが、それ以降、03年までは、基本的に減少、05年以降増加している。
労働分配率は、97年をピークに、それ以降は、減少傾向にあり、05年、06年は、一時的に持ち直したものの、07年はまた減少している。

~雇用者報酬および労働分配率の推移(1993年~2007年度)~

Houshyubunpairitu9307

出所:国民経済計算確報(内閣府)を基に作成(チーム『民』)

では、この間名目GDPならびに、その他の構成要素は、どのように変化したのか。

分配面からみたGDPの構成要素の成長率の推移を示したグラフが下図。

名目GDPの成長と雇用者報酬の成長が、2001年度までは、ほぼシンクロしており、2002年度以降は、名目GDPの成長に、雇用者報酬の成長が追いつかなくなっていることが、わかる。

また、営業余剰・混合所得は94年以降、一度も100%を超えることはなく、一方で、固定資産減耗は、増加し続け、2007年度には125%(93年比)となっている。

固定資産減耗の増加が、雇用者報酬の伸び悩みの、大きな要因となっていることがわかる。

~分配面からみたGDPおよび構成要素の成長率の推移(1993年~2007年度)~

Bunpaigdo9307

出所:国民経済計算確報(内閣府)を基に作成(チーム『民』)

◎GDPデフレーターと雇用者報酬の関係

次に、雇用者報酬が減少する要因を把握するため、GDPデフレーターと、雇用者報酬の関係について、分析した。

GDPデフレーター = 名目GDP/実質GDP で算出される。
これは、概念としては、『生産量1単位当りの名目付加価値』、つまり『生産量1単位で、いくら稼げるのか』と、みても良い。

また名目GDPは、以下の式で表される

名目GDP = 雇用者報酬+営業余剰・混合所得+固定資産減耗+純間接税

よってGDPデフレーターは、下記式で算出できると考えて良い。

GDPデフレーター = 単位労働費用+単位当たりの雇用者報酬以外の構成要素

単位労働費用(生産量1単位当りの雇用者報酬) = 雇用者報酬/実質GDP
単位当たりの雇用者報酬以外の構成要素 = (営業余剰・混合所得+固定資産減耗+純間接税)/実質GDP

95年~07年は、基本的には、 『生産量1単位当りの稼ぎが少ない状況』 、つまりデフレといって良い。
単位労働費用は、97年度の上昇を最後に、以降、前年比は全てマイナス、単位当たりの雇用報酬以外の構成要素は、2002年~2004年にかけては前年比プラスになったが、それ以降は、再びマイナスに転じている。

まとめると、デフレ化においては、単位労働費用および、単位当たりの雇用報酬以外の構成要素は、共にマイナスになり、特に単位労働費用の圧縮、つまりは雇用者報酬の減少が、より大きくなっていることが、明らかになった。

~GDPデフレーターの単位労働費用などへの寄与分解~

Taniroudouhiyoudef9507

出所:国民経済計算確報(内閣府)を基に作成(チーム『民』)

◆まとめ

分配面からみた国民経済計算を10年前と比較すると、下記のことが、わかった。

・デフレ化においては、単位労働費用つまり雇用者報酬の圧縮が、大きい

・雇用者報酬、労働分配率が減少し、固定資産減耗が営業余剰・混合所得は増加

・固定資産減耗の割合の増加が、雇用者報酬の押し下げ要因になる

その2では、1人当りの賃金がどのように推移したのか等を、示します。

よろしければ、こちらを、クリックしてください。 にほんブログ村 政治ブログへ

|

« あなたは、耐えられますか?官と民の給与格差 | トップページ | 10年で何が変わったのか?~分配面からみた国民経済計算その2~ »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

経済・財政」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。